水中ポンプとは、その名の通り「水の中に沈めて使用するポンプ」のことです。
一般的に電気製品は水に弱いものですが、水中ポンプはモータ部分を完全に密閉(防水)することで、水中で安全に稼働し、水を低い場所から高い場所へ押し上げる役割を果たします。
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水中ポンプの定義と基本的な仕組み
水中ポンプとは、水を送り出す「ポンプ部」と、それを動かす「電動機(モータ)」が一体化されており、製品全体を水の中に沈めて使用するポンプのことです。
一般的な電気製品は水に濡れると故障や漏電を起こしますが、水中ポンプは「メカニカルシール」などの特殊な密閉構造によって、モータ内部への浸水を防いでいます。これにより、水中で安全に稼働し、水を直接押し上げることが可能になります。

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「どうやって水を高いところまで運んでいるのか?」「なぜ水の中で電化製品が使えるのか?」
その秘密は、水中ポンプ内部の精密な構造にあります。構造を理解することは、現場でのトラブルを防ぐための第一歩です。
ここでは、ポンプが水を吸い上げる仕組みと内部の構造を簡潔に説明します。
水を吸い上げる仕組み(インペラと遠心力)
水中ポンプが水を排出する中心的な役割を担っているのが、内部にあるインペラ(羽根車)と呼ばれる部品です。
モーターの力でインペラが高速回転すると、強力な遠心力が発生します。ポンプ内部に入ってきた水は、この遠心力によって外側へ弾き飛ばされ、その勢い(圧力)でケーシング内部を通って吐出し口からホースへと押し出されます。

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ポンプの浸水を防ぐ仕組み
「水の中に電化製品を入れて、漏電やショートはしないの?」
これは誰もが抱く疑問です。水中ポンプにとって最大の命題は「モータ室への浸水を防ぐこと」です。
モータへの浸水経路は、大きく分けて「インペラ側(回転軸)」と「ケーブル側(電源)」の2つがあります。それぞれ異なるアプローチで、徹底的な防水対策が施されています。

インペラ側は、主に「メカニカルシール」が浸水を防止する機能を果たしています。メカニカルシールは最前線で水密を保ち、ポンプ側からモータ側への浸水を防いでいます。

ケーブル側はケーブルに「水切り加工」を施すことで浸水を防止しています。
ケーブルの被覆が破れたり、ケーブルの先端が水没すると、ケーブルの中を伝って水がモータ室まで吸い上げられてしまいます。これを防ぐため、ケーブルの根元部分には芯線の隙間に樹脂(アラルダイト等)を充填する「水切り加工」が施されています。これにより、万が一ケーブルが損傷しても、そこから先へ水が進めないようブロックしています。

ポンプの故障を防ぐ仕組み
建設現場や災害現場の水は、決して綺麗ではありません。泥、砂利、木片などが混じっています。これらがポンプ内部に入ると、インペラに挟まって回転が止まる(ロックする)原因になります。
こうしたトラブルを防ぐために、ポンプの吸込み口にはストレーナ(網)が取り付けられています。ストレーナの穴より大きな固形物は内部に入れない構造になっており、物理的な故障を未然に防ぎます。

また、万が一インペラがロックしたり、過度なタコ足配線で電圧が下がったりしてモーターに異常な負荷がかかった場合には、内蔵された「モーター保護装置(オートカットなど)」が熱を感知して、自動的に運転を停止させ、モーターの焼損を防ぎます。

失敗しない水中ポンプの選び方6ステップ
「ポンプなんて水が出れば何でもいい」と思っていませんか?
実は、現場で起きるポンプトラブルの多くは、機械の寿命ではなく「選定ミス」が原因です。用途に合わないポンプを使うと、すぐに詰まったり、能力不足で水が出なかったり、最悪の場合は漏電して現場全体が停電するリスクさえあります。
メーカーとして推奨する、失敗しないための「6つの確認ステップ」をご紹介します。カタログを開く前に、まずは現場の状況を整理しましょう。
1. 水中ポンプが扱う水質を確認
一番最初に確認すべきなのは、「液質(どんな水を出すのか)」です。
インペラの形やポンプの材質によって対応できる水質が全く異なります。水質に合わないポンプを使うとトラブルにつながってしまいます。
ここでは水質とそれに対応するポンプの一例を紹介します。
| 水質・種類 | 選ぶべきポンプのタイプ |
|---|---|
| 泥水・スラリー | 撹拌羽根付きポンプ サンドポンプ |
| 汚水・汚物 | 汚水用ポンプ(異物通過径が大きいもの) |
| 海水・薬液混じり | 耐海水ポンプ 耐食ポンプ(ステンレス製) |
| 40℃以上の高温水 | 耐高温ポンプ |
2. 周波数・相数・電圧・口径を確認する
水質が確認できたら、次は現場の電源環境、接続する配管やホースの口径を確認します。
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確認すべき項目は以下の4点です。
| 確認項目 | 内容 |
|---|---|
| 周波数 | 50Hzか60Hzか |
| 相数 | 単相か三相か |
| 電圧 | 単相:100V または 200Vか 三相:200V または 400Vか |
| 口径 | 何インチか または 何㎜か |
3. 必要な全揚程(高さ)の計算
ここが最も間違いやすいポイントです。
ポンプの能力を選ぶ際、「水を上げたい高さ(実揚程)」だけで選んでいませんか?実はそれだけでは水が出ない可能性があります。
水がホースの中を通る時、ホースの内壁との摩擦で「ブレーキ」がかかります。これを「配管損失(摩擦損失)」と呼びます。ポンプを選ぶ際は、実際の高さに、このブレーキ分を上乗せした全揚程(ぜんようてい)で考える必要があります。

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4. 必要な吐出量(水量)の決定
「吐出量(としゅつりょう)」とは、ポンプが1分間にどれだけの水を排出できるかを示す数値です。単位は一般的に「m³/min(リューベ毎分)」または「L/min(リットル毎分)」で表されます。

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5. 性能曲線の見方
全揚程(高さ+損失)と吐出量(水量)の目安がついたら、最後にカタログの「性能曲線」を確認して、そのポンプが本当に使えるかを判断します。
性能曲線とは、縦軸に「全揚程」、横軸に「吐出量」をとったグラフのことです。
ポンプの性能は、揚程と吐出量がトレードオフ(反比例の関係)になっています。
水を高く上げれば上げるほど、出る水の量は減ります。逆に、低い場所へ出すなら、たくさんの水が出ます。
選び方は簡単です。先ほど計算した「必要な全揚程」と「必要な吐出量」の交点が、グラフの線の下側(内側)に入っていれば、そのポンプで使用可能です。

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6. 自動運転か非自動運転かを選ぶ
最後に、ポンプの運転方式を選びます。「スイッチのON/OFFを誰がやるか」です。
工事現場や設備管理において、常に人が張り付いてポンプを操作できるとは限りません。水がなくなったのに運転し続ける「空運転」は、ポンプ故障の最大要因です。
| タイプ | 仕組みと特徴 | 適したシーン |
|---|---|---|
| 非自動型 | 電源プラグを差すと動き出し、抜くと止まる。 水がなくなっても動き続けるため、空運転に注意が必要。 |
短時間の排水作業 水位があまり下がらない場合 |
| 自動型 (オート) |
電極やフロート(浮き)が水位を感知して、自動でON/OFFする。 水が減ると自動停止するため、空運転のリスクが低い。 |
夜間の無人排水 増水時の自動排水 水位の変化が激しい現場 |
水中ポンプの正しい使い方 3つの基本ステップ
「スイッチを入れたのに動かない」「動いてもすぐ止まる」「異音がする」
現場で発生するこうしたトラブルの8割以上は、実は機械の故障ではなく「間違った使い方」が原因です。
電気と水を同時に扱う水中ポンプは、一歩間違えれば漏電や感電といった重大事故につながります。安全に、そしてポンプを長持ちさせるための「正しい使い方の3ステップ」を解説します。
1. 水中ポンプ使用前の準備(電源・ポンプ・ホース・設置場所)
現場に到着して、いきなりポンプを水に投げ入れてはいけません。安全な排水作業は「段取り」で決まります。以下の4点を必ずチェックしてください。
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| チェック項目 | 確認内容 |
|---|---|
| 電源 | 使用する水中ポンプの周波数、相数、電圧、電源の容量が現場の条件と合っているか確認 |
| ポンプ | メガテスター(絶縁抵抗計)を使用して電気が流れる部分と、ポンプ本体(アース)との間の絶縁抵抗値が20MΩ以上か確認 |
| ホース | ポンプの口径に合ったホースを選び、ホースバンドで確実に締め付ける ホースの先端を固定し、暴れないようにする |
| 設置場所 | 転倒しないように平らな場所に置いたり、砂利や泥による詰まりを防ぐために底上げしたりする |
2. 水中ポンプを安全に使うための操作
1.準備が整ったら、ポンプを水中に沈めて電源を投入します。
単相の場合は電源プラグをコンセントに接続し、三相の場合は動力線を制御盤や分電盤に接続してください。
電源接続時は、アース(接地)を接続することも忘れないでください。

2.運転中、最も注意しなければならないのが空運転(渇水運転)です。
水中ポンプは、周囲の水によってモーターの熱を冷やす構造になっています。水がない状態で運転を続けると、砂を吸い込んで部品が摩耗したり、モーターが冷却されずに高温になり、コイルが焼けたりして致命的な故障につながります。
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3. 水中ポンプの停止と片付け(メンテナンス)
作業終了後、電源を切ってポンプを引き上げたら、そのまま倉庫にしまっていませんか?
「ポンプが動かない」というトラブルの原因は、保管前のメンテナンス不足が原因のこともあります。
特に泥水やセメント成分を含む水を排水した後は、内部で汚れが固まり、インペラをガチガチに固着させてしまいます。
ポンプ内部と外部の洗浄を行い、汚れを落としておきましょう。
またケーブルは直射日光が当たらない場所で保管し、ケーブルが劣化しないようにしましょう。
ケーブルが劣化すると「ポンプが動かない」「漏電する」といったトラブルにつながってしまいます。
水中ポンプ使用時のトラブルシューティング
「現場でポンプが動かなくなった!故障か!?」
慌ててレンタル会社やメーカーに電話する前に、まずは以下のフローを確認してください。現場で解決できるトラブルも多々あります。
1. 水中ポンプが「動かない」
スイッチを入れてもウンともスンとも言わない、または唸るだけで回らないケースです。
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| 疑うべき原因 | 確認すべきこと |
|---|---|
| 電源が供給されていない | 電源が供給されているか、発電機が動いているか、 ケーブルが断線していないか |
| 電圧降下 (パワー不足) |
発電機の容量が不足していないか、ケーブルの延長や他の機械との電源の共用で電圧が下がっていないか |
| 漏電遮断器が作動している | 漏電や過電流で漏電遮断器が作動していないか 漏電遮断器が作動していない場合は、ポンプ以外の故障も疑われます。 |
2. 水中ポンプが「始動と停止を繰り返す」
電源を入れてしばらくするとポンプが止まり、またしばらくすると動き出す…という現象です。
先ほどと同様、電源に不良がある場合と、保護装置(オートカット)が作動している場合、ポンプ以外が故障している場合があります。
保護装置が作動する原因はモータの過熱と過電流です。渇水運転によってポンプが熱くなっていないかどうか、インペラに異物が挟まってロックしていないかどうかなどを確認してください。
3. 規定の「性能(水量・揚程)が出ない」
「新品なのに水がチョロチョロしか出ない」という場合、まずは以下の3点を確認してみてください。
・渇水運転になっていないかどうか
・60Hzのポンプを50Hzで使用していないかどうか
・インペラが逆回転していないかどうか(三相のみ)
この3つに当てはまらない場合は、電流値を確認してみてください。電流値が低くなるのは、ポンプが仕事をしていないサインです。
原因はポンプ内部の詰まりやインペラの摩耗、配管内の詰まりや接続不良があります。
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4. ポンプから「異常な振動・騒音がする」
異常な振動や騒音がある場合は、すぐに運転を停止してください。
ポンプ部に原因がある場合と、配管部に原因がある場合に分けられます。
ポンプ部の原因はインペラの逆回転、接触、摩耗やベアリングの破損などの内部故障、吸い込み不良によるキャビテーションなどが考えられます。この状態で使い続けると、破損が拡大し修理不能になる恐れがあります。速やかに点検を依頼してください。
配管部の原因は、基礎やバルブの取り付け不良、ウォータハンマの発生などが考えられます。
まとめ:水中ポンプの基本を理解して選定、使用する
水中ポンプは、建設現場の工程を守り、災害時の安全を確保するために欠かせない重要な機械です。
しかし、「たかがポンプ」と侮って適当な選定や使い方をすると、思わぬトラブルを招き、現場全体を止めてしまうリスクがあります。
今回の記事でお伝えした重要なポイントは以下の4点です。
1. ポンプは水を吸い上げる仕組み、浸水を防ぐ仕組み、故障を防ぐ仕組みでできている
2. ポンプを選ぶときは水質と現場の条件をしっかり確認する
2. 安全な排水作業は使用前の準備で決まる
3. トラブルが起きたときは焦らず電源から確認する
この基本さえ押さえておけば、水中ポンプの基礎はバッチリです。
現場の状況を正確に把握し、最適な一台を選んで、安全で効率的な作業を実現してください。
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