「現場に適したポンプはどれだろう?」「種類が多すぎて、何が違うのかよく分からない」とお悩みではありませんか?
ポンプは、水や油、泥状の液体などを運ぶために欠かせない機械です。しかし、その種類は「非容積式(ターボ型)」や「容積式」など多岐にわたり、選定を誤ると性能を十分に発揮できなかったり、故障の原因になったりすることもあります。
この記事では、日本初の水中ポンプメーカーとして歩んできた株式会社櫻川ポンプ製作所の知見を活かし、ポンプの基本原理から種類ごとの特徴、用途に合わせた選び方まで網羅的に解説します。
✔︎この記事のポイント
- ポンプの基本原理(遠心力や圧力)が直感的にわかります
- 非容積式と容積式の違いなど、網羅的な分類が理解できます
- 陸上ポンプを水中ポンプに代えるメリットなど、現場で役立つ知識が身につきます
さくゾウ
さくみ
ポンプとは?仕組みと基本原理を解説
ポンプとは、モーターやエンジンなどの動力を使って、液体にエネルギーを与え、低い場所から高い場所へ運んだり、遠い場所へ送り出したりするための機械です。私たちの生活に欠かせない水道や、過酷な建設現場、工場の生産ラインなど、あらゆる場所で活躍しています。

ポンプの性能を決める「流量」と「揚程」
ポンプがどのくらいの量を、どのくらいの高さ、距離に運べるかを示す指標は「流量(吐出し量)」と「揚程(ようてい)」です。この2つの数値が、そのポンプの能力を表します。
| 用語 | 意味 | 単位の例 |
|---|---|---|
| 流量(吐出し量) | 1分間(または1時間)に送り出せる液体の量 | m³/min |
| 揚程(ようてい) | 液体を垂直に持ち上げることができる高さ(圧力) | m |
揚程が高くなるほど、送り出せる水の量(流量)は減るという反比例の関係にあります。これを「HQ曲線」と呼びますが、実際の現場では配管の摩擦による損失も考慮して、余裕を持った選定を行うことが重要です。
ポンプを動かすさまざまな「動力源」
ポンプが液体にエネルギーを与えるためには、その大元となる「動力」が必要です。一般的には電気で動くものが主流ですが、使用する場所や目的によって、以下のようにさまざまな動力源が使い分けられています。
| 動力源 | ポンプの呼称・例 | 特徴・主な使用シーン |
|---|---|---|
| 電気 | モータポンプ | 最も一般的。工場や建設現場、家庭用まで幅広く普及しています。 |
| ガソリン・軽油 | エンジンポンプ | 電源がない屋外や、災害時の緊急排水などで活躍します。 |
| 位置エネルギー | 無動力ポンプ | 水の落差(自然の力)を利用。電源不要で水を高い所へ運べます。 |
| 腕力(人力) | 手動ポンプ | 災害時の給水や、電源のない場所での少量の液体移送に。 |
| 油圧 | 油圧駆動ポンプ | 油圧ショベルなどの建設機械のパワーを利用して駆動します。 |
| 空気圧 | エアー駆動ポンプ | 圧縮空気を利用。防爆エリア(火気厳禁)などでの使用に適しています。 |
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原理・構造による3つの分類(揚水の仕組み)
ポンプが液体にエネルギーを与えて揚水する仕組みは、「非容積式」「容積式」「特殊型」の3つのタイプに分類されます。現場の状況や液体の性質に合わせて、最適な仕組みのポンプを選びます。

| 分類 | 揚水の仕組み(原理) |
|---|---|
| 非容積式(ターボ型) | 羽根車を高速回転させ、液体に「勢い(遠心力)」を与えて飛ばす仕組み。連続的に大量の水を送るのに適しています。 |
| 容積式 | ポンプ内部の空間(容積)を変化させ、液体をムギュッと「押し出す」仕組み。一定量を正確に、あるいはドロドロしたものを運ぶのに適しています。 |
| 特殊型 | 回転や往復運動以外の、物理現象を巧みに利用した仕組み。特殊な環境や特定の目的のために進化しました。 |
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【分類1】非容積式(ターボ型)ポンプの特徴
非容積式ポンプ(ターボ型ポンプ)は、回転する羽根車(インペラ)によって液体に勢い(速度エネルギー)を与え、それを圧力に変えて揚送する仕組みのポンプです。原理、構造、運転性能のあらゆる面で優れた利点を持っており、世の中にあるポンプのなかで最も多く利用されています。非容積式ポンプは、大きく分けて「遠心ポンプ」「斜流ポンプ」「軸流ポンプ」に分類されます。
遠心ポンプ(タービン・ボリュート)
あらゆるポンプの中で最も普及しているタイプです。工事用水中ポンプの多くも、この遠心ポンプに含まれます。吸込口から入った水は、インペラによって軸に対して垂直な方向に速度エネルギーを与えます。

遠心ポンプは、構造によって大きく2つの形式に分けられます。
- タービンポンプ:インペラとケーシングの間に、効率よく圧力を変えるための「案内羽根(ガイドベン)」を設けた形式です。
- ボリュートポンプ:インペラから出た水が、そのままケーシングに入って速度が圧力に変換される形式です。

櫻川ポンプの水中ポンプには、案内羽根がついたタービンポンプはなく、ボリュートポンプしかありません。しかし、ディープウェルポンプや高揚程ポンプは案内羽根の代わりにケーシングの形を工夫し、より効率よく圧力に変換できるようにしています。
渦流ポンプと渦巻ポンプ
さらに、ボリュートポンプはインペラとケーシングの隙間の広さによって、渦流ポンプと渦巻ポンプに分けられます。
- 渦流ポンプ:ケーシングとインペラの隙間が広く、その隙間で渦を作って揚水する構造で、異物が詰まりにくいです。櫻川ポンプではUSシリーズに採用されています。
- 渦巻ポンプ:ケーシングとインペラの隙間が狭く、インペラが直接水を弾き飛ばして揚水する構造で、効率が良いです。U-KシリーズやUCFシリーズに採用されています。

斜流ポンプと軸流ポンプ
遠心ポンプが水を「外向き(垂直)」に飛ばすのに対し、斜流ポンプと軸流ポンプはより多くの水を送るのに適した構造を持っています。
- 斜流ポンプ:遠心ポンプと軸流ポンプの中間形です。遠心力と揚力の両方を利用し、低揚程で大きな水量を送るのに向いています。遠心ポンプに近いものから軸流ポンプに近いものまで、性能の幅が広いのが特徴です。

- 軸流ポンプ:インペラによって水に揚力を与え、軸と同じ方向に水を送る形式です。インペラ後方の案内羽根でエネルギー変換を行い、うず巻室を持たないのが特徴です。斜流ポンプよりさらに低い揚程で、一度に大量の水を送る「農業かんがい」や「上下水道」などで活躍します。

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水中ポンプと陸上ポンプの違い
非容積式ポンプを「どこに設置するか」で分けると、水中ポンプと陸上ポンプに大別されます。一般的には仮設で使用する工事現場などでは水中ポンプが、常設で使用する設備には陸上ポンプが普及しています。しかし、陸上ポンプが使用されている現場でも、水中ポンプに置き換えることで多くのメリットが得られるケースがあります。
| 比較項目 | 陸上ポンプ | 水中ポンプ |
|---|---|---|
| 設置場所 | 地上(ポンプ小屋などが必要) | 水中に直接沈める |
| 呼び水 | 必要 | 不要 |
| 芯出し調整 | 必要 | 不要 |
| 浸水リスク | あり(故障の原因になる) | 低い(水中での動作が前提) |

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工場の設備などで現在陸上ポンプをお使いの場合でも、水中ポンプへの代替は可能です。設置コストを抑えられ、メンテナンス性も向上する可能性があるため、更新時にはぜひ検討したい選択肢です。
【分類2】容積式ポンプの特徴と種類
容積式ポンプは、ポンプ内部に特定の空間(容積)を作り、その容積を変化させることで液体を「押し出す」仕組みのポンプです。非容積式(ターボ型)が液体の勢いを利用するのに対し、容積式は決まった量を確実に送り出すのが得意です。
往復動ポンプ(ピストン・ダイヤフラム)
シリンダー内でピストンやプランジャーを往復させ、注射器のように液体を吸い込み、押し出すタイプです。
高い圧力をかけることができるため、高圧洗浄機や化学プラントでの薬液注入などに使用されます。また、膜を動かして液体を運ぶ「ダイヤフラムポンプ」は、液体が外部に漏れにくい構造のため、劇物や汚泥の搬送にも適しています。

ベーンポンプ(羽根ポンプ)
ベーンポンプは、回転する羽根(ベーン)を利用して液体を運ぶポンプです。円筒形のケーシング(本体)の中に、中心を少しずらした「偏心した回転子(ローター)」が配置されています。この回転子には複数の溝が切られており、その中には自由に出入りできる板状の「羽根(ベーン)」が差し込まれています。
回転子が回ると、羽根は遠心力によって外側に飛び出し、ケーシングの内面をぴったりと押しつけながら回転します。これにより、羽根とケーシングの間に液体が取り込まれ、勢いよく送り出される仕組みです。
主に「油」を扱う現場、大容量の油を効率よく輸送するのに適しています。

回転ポンプ(ギア・スクリュー)
歯車(ギア)やねじ(スクリュー)を回転させ、その隙間に液体を閉じ込めて運ぶタイプです。
液体をかき混ぜずに一定の流量で送り出せるため、粘度の高い油(重油や潤滑油)や、食品工場でのソース・クリームの搬送などによく用いられます。

スクイズポンプ(チューブポンプ)の役割
容積式ポンプの中でも、特に「ドロドロとしたもの」や「固形物が混じったもの」の搬送に強いのが、スクイズポンプ(チューブポンプ)です。弾力のあるチューブをローラーで押しつぶしながら(スクイズ)、液体をしごき出すように運びます。建設現場でのモルタルの搬送やグラウトの注入、のり面の吹き付け作業、地盤改良工事での薬液注入や耐震補強工事などで使用されています。非容積式のポンプでは詰まってしまうような粘性のある液体や、デリケートな液体でも、チューブ内を通すだけで安全に運べるのが最大のメリットです。

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【分類3】特殊な仕組みを持つポンプ
「非容積式」や「容積式」といった主流の分類以外にも、物理現象を巧みに利用した特殊な仕組みを持つポンプが存在します。これらは特定の条件下で非常に高い効率を発揮したり、電源がない場所で動いたりと、独自の進化を遂げてきました。
カスケードポンプ(摩擦ポンプ)
周辺に溝がある円板状の回転子をケーシングの中で回転させ、液体との間に生じる「流体摩擦」を利用して送り出すポンプです。
粘度の小さい液体を運ぶのに適しており、揚水量に対して揚程(持ち上げる力)を高く取れるのが特徴です。その特性から、家庭用の電動井戸ポンプなどの小型装置に採用されることがあります。

気泡ポンプ
揚水管の中に圧縮空気を送り込み、水と空気の混合体を作ることで「水よりも軽く」し、周囲の水圧に押される力を利用して液体を引き上げる、エアーリフトを利用した仕組みです。
可動部が管内にないため、深い井戸からの揚水や、石油を掘り出す油井(ゆせい)など、特殊な環境下での採油に用いられます。

噴流ポンプ(ジェットポンプ)
ノズルから高速で液体を噴出させ、その勢いで周囲の液体を巻き込んで一緒に運ぶポンプです。
高速流が混ざり合う過程で圧力を高める仕組みで、深い場所にある水の揚水に使用されます。可動部が少ないため故障しにくいという利点があります。

水撃ポンプ(水槌ポンプ)
「ウォーターハンマ(水撃作用)」という、配管内の水の流れを急に止めた時に発生する衝撃圧力を動力源とする非常に珍しいポンプです。
比較的低い場所にある水を長い管で導き、その慣性を利用して一部の水を元の高さよりさらに高い場所へ自動的に押し上げます。外部電源を必要としない「自動揚水機」として、自然エネルギーを活用した運用が可能です。

| ポンプの種類 | 主な原理・特徴 | 代表的な用途 |
|---|---|---|
| カスケードポンプ | 流体摩擦を利用 | 家庭用井戸ポンプなど |
| 気泡ポンプ | 空気との混合による軽量化 | 深井戸、油井の採油 |
| 噴流ポンプ | 高速流による誘引・増圧 | 深所の揚水 |
| 水撃ポンプ | 慣性作用(衝撃圧)を利用 | 電源のない場所での自動揚水 |
失敗しない!現場に最適なポンプの選び方
ポンプには非常に多くの種類がありますが、現場に最適な一台を選ぶためには「何を運ぶか(液質)」と「どれくらいの期間使うか(耐久性)」を慎重に見極める必要があります。ここでは、選定で失敗しないための重要なポイントを解説します。
液質と粘度による使い分け
最も重要なのは、送り出す液体の性質に合わせることです。以下の表を参考に、用途に適した形式を選んでください。
| 液体の状態 | 適したポンプの例 | 選定のポイント |
|---|---|---|
| サラサラした水(清水・湧水) | 水中ポンプ・陸上ポンプ | 効率良く大量に送るのに最適です。 |
| 砂や泥が混じった水 | 水中ポンプ(サンドポンプなど) | 内部が摩耗しにくい強靭な材質を選びましょう。 |
| ドロドロした粘性液(モルタル等) | スクイズポンプ | 詰まりを防ぎ、確実に押し出す力が必要です。 |
| 油や化学薬品 | 回転ポンプ・ダイヤフラムポンプ | パッキンなどの材質が液質に耐えられるか確認が必要です。 |
過酷な現場で「業務用」が選ばれる理由
ホームセンターなどで販売されている安価な家庭用ポンプ(樹脂製など)は、長時間の連続運転や土砂混じりの排水を想定していないケースが多く、過酷な現場で使用すると数日で故障してしまうことも少なくありません。
コストを抑えようとして工事現場に家庭用ポンプを持ち込むと、かえって買い替えコストがかさむ可能性があります。それぞれの特徴を比較表にまとめました。
| 比較項目 | 家庭用ポンプ | 業務用ポンプ |
|---|---|---|
| 材質(見た目) | プラスチック(樹脂)が多い (軽量だが衝撃に弱い) |
金属(鋳鉄・アルミなど)が多い (重いが衝撃や熱に強い) |
| 電源・電圧 | 単相100Vがメイン (低出力なものが多い) |
単相100Vに加え、三相200Vなど (高出力なものが多い) |
| 主な用途 | お風呂の水、散水、池の掃除 (使用頻度は少ない) |
工事現場、工場設備、農業 (毎日、長時間使用も想定) |
| 耐久性 | 低い (綺麗な水を扱う前提) |
高い (ラフな環境でも耐えられる) |
さくみ
創業以来、日本初の水中ポンプメーカーとして現場の課題に向き合ってきた櫻川ポンプ製作所では、過酷な環境でも安心して使い続けられる製品づくりを追求しています。ポンプ選びで迷った際は、ぜひ「現場を知るプロ」へご相談ください。



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