「スイッチを入れたのに動かない…」「動いてもすぐ止まる」「揚水しない」「異音がする」
現場で突然起こる水中ポンプのトラブル。作業が止まってしまい、焦った経験はありませんか?
実は、ポンプの故障やトラブルの8割以上は、機械の不具合ではなく「知識不足による使い方のミス」が原因です。裏を返せば、正しい手順さえ知っていれば、トラブルは未然に防げるのです。
本記事では、メーカーの視点から「失敗しない水中ポンプの正しい使い方」を徹底解説します。基本の3ステップから、やってはいけないNG行動、困った時のトラブルシューティングまで。現場の安全と信頼を守るための“プロの知識”をマスターしましょう!
水中ポンプの正しい使い方 3つの基本ステップ
土木・建設現場における排水作業の要である「水中ポンプ」。 非常に身近な機械ですが、「水中で電気を使用する」という特性上、取り扱いを誤れば漏電や感電といった人命に関わる重大災害を引き起こすリスクがあります。現場で安全かつ確実に排水作業を行うことは、人命やポンプの寿命を守るだけでなく、顧客(現場)の信頼にも直結します。
まずは水中ポンプの正しい使い方「3つの基本ステップ」から見ていきましょう。
使い方ステップ1:水中ポンプ使用前の準備(電源・ポンプ・ホース・設置場所)
安全で効率的な排水作業は「準備」で9割決まると言っても過言ではありません。現場に到着し、ポンプを水に入れる前に、必ず「電源」「ポンプ」「ホース」「設置場所」の4点を確認するクセをつけましょう。
さくゾウ
さくみ
故障や感電みたいな重大な事故に繋がっちゃうゾウ!
確認①:電源(電圧・周波数・容量)
現場での「動かない」トラブルで非常に多いのが、電源のミスマッチです。使用前に必ず以下の項目をチェックしてください。
| チェック項目 | 確認すべき内容 | 不適合時のリスク |
|---|---|---|
| 周波数(Hz) | 50Hz(東日本)か 60Hz(西日本)か | 過負荷による焼損、能力不足 |
| 相数 | コンセントで使える「単相」か工場や現場の電源で使用する「三相」か | 形状が異なるため 物理的に接続不可 |
| 電圧(V) | 単相の場合:100Vか200Vか 三相の場合:200Vか400Vか (※相数によって上記の電圧が存在します) |
始動不能、接続不可 |
| 電源の容量(KVA) | 発電機や商用電源の容量は足りているか | 電力不足による始動不良 |
確認②:ポンプの点検
安全の要で特に水中で電気を使うため、漏電チェックは必須です。
使用前にはメガテスター(絶縁抵抗計)を使い、モータやケーブルといった電気が流れる部分と、ポンプ本体(アース)との間の絶縁抵抗の測定を必ず行ってください。
| 測定値(絶縁抵抗) | 判定と対応 |
|---|---|
| 20MΩ以上 | 【正常】使用可能(新品・整備後の出荷基準) |
| 1MΩ未満 | 【異常】漏電の恐れあり。使用を中止し、修理へ |
※櫻川の出荷基準は20MΩです。
※感電対策として制御盤・分電盤には感電防止用漏電遮断器の取り付けが必須です。
抵抗が下がってきた場合は、整備計画をご検討ください
さくゾウ
さくみ
最悪の場合は感電して重大事故につながってしまうんだゾウ!絶対にそのまま使っちゃダメだよ。
確認③:ホースの接続と固定
ポンプの能力を活かすも殺すもホース次第です。選定ミスや接続不良は、「排水できない」だけでなく事故に直結する場合もあります。
まず、現場の状況に合わせて適切なホースを選定します。
| 種類 | 特徴 | メリット | デメリット |
|---|---|---|---|
| サニーホース | 軽量で安価 | 丸めて収納でき扱いやすい。 | 柔らかいため折れや潰れが発生しやすい。折れると水流が止まり、ポンプに負荷がかかる。 |
| サクションホース | 樹脂や金属の芯を使用 | 型崩れしないため 抵抗(配管損失)が少ない |
重くて硬いため、大口径になると取り回しが大変。 |
【接続時の重要ポイント】
- 口径: 必ずポンプの吐出口径と同じサイズのホースを使用してください。
- ポンプ側: ホースバンドやカップリングで確実に固定してください。ポンプの水圧は強力なため、締め付けが甘いと運転中にホースが抜け、現場が水浸しになります。
- 排水側(末端): 排水の勢いでホースの先端が暴れると非常に危険です。先端に重りをつけたり、ロープで杭などに固定するなどして、絶対に暴れないよう処置してください。
さくゾウ
さくみ
確認④:設置場所の選定
ホースを繋いだら、ポンプを設置します。水中ポンプは水さえあれば良いというわけではありません。設置場所が悪いと、すぐに異物を吸い込み、詰まりや故障の原因となります。
| 設置のコツ | 目的(避けるトラブル) |
|---|---|
| 平らで安定した場所に置く。 | 転倒による吸い込み不能の防止。 |
| ポンプの底を地面に接触させないよう紐やロープで吊りしたり ブロックなどでかさ上げしたりする。 |
砂利や泥などによる詰まり・ロック防止。 |
| ポンプをカゴに入れたり、周りを柵で囲ったりする。 | 落ち葉やゴミなどの浮遊物による詰まり・ロック防止。 |
さくゾウ
移動させたりしてるの見かけるけど…
さくみ
引き上げや移動でもケーブルは絶対に引っ張っちゃダメだゾウ!
使い方ステップ2:水中ポンプを安全に使うための操作(空運転防止)
準備が整ったら、いよいよポンプを水中に設置し、運転を開始します。
1. 電源接続とアースの設置
ポンプを設置したら、電源に接続します。
単相の場合:電源プラグをコンセントに接続
三相の場合:各動力線を制御盤の正しい端子に接続
※始動方式や保護装置によりケーブルの芯数は変わる

電源接続時は、必ずアース(接地)も接続してください。
アース端子付きのプラグや、クリップ式のアース線を使用し、漏電時の感電事故を防ぎます。
2. 運転開始と水位管理(空運転防止)
電源を入れると排水が始まります。ここからはポンプのタイプ(非自動・自動)によって水位の管理方法が異なります。
・非自動型(手動)の場合
電源を手動で切らない限り、ポンプは動き続けます。最低水位を下回り、空運転になるとモータが焼き付いてしまいます。渇水状態にならないよう注意が必要です。
渇水運転を防ぐためには、フロートと制御盤を使用することをおすすめします。
・自動運転型(オート)の場合
オートポンプは「フロート」や「静電容量式センサー」が搭載されております。任意の高さにセンサーやフロートを設定すると、これらが水位を検知して自動でポンプのON/OFFを切り替えます。水位が下がれば自動停止し、空運転を防ぎます。
さくゾウ
さくみ
使い方ステップ3:水中ポンプの停止と片付け(メンテナンス)
作業が終わったら、単に電源を抜くだけでなく、次回の使用(または返却)に備えた適切な処置が必要です。
| 片付け手順 | 具体的な作業方法 | 目的 |
|---|---|---|
| 1.洗浄 | 清水を吸わせて、ポンプ内部のゴミや泥を洗い流す。 | 泥の固着による「次回始動時のロック」を防ぐ。 |
| 2.ケーブル整理 | ねじれを解消しながら、丁寧に巻き取り、直射日光を避けて保管する。 | 断線や被膜の劣化を防ぐ。 |
水中ポンプの「使い方」で困った時のトラブルシューティング
「動かない」「水が出ない」といった現場からのSOS。故障と決めつける前に、まずは以下のポイントを確認してみてください。意外と単純な原因で簡単に解決できることがあります。
トラブルシューティング①:水中ポンプが「動かない」
スイッチを入れても全くモータが動かないケースです。
さくゾウ
さくみ
- ✅ 電源
・停電はしていないか
・電圧は下がっていないか
・発電機の容量は足りているか - ✅ ケーブル
・断線していないか
・接続不良はないか
・延長しすぎていないか
さくゾウ
さくみ

トラブルシューティング②:水中ポンプが「始動と停止を繰り返す」
ポンプが回ったと思ったらすぐに止まり、また動き出す…という動作を繰り返すケースです。
これは保護装置が作動している場合と、ポンプ以外に故障がある場合があります。
さくゾウ
さくみ
- ✅ 電源
・電圧は下がっていないか - ✅ ケーブル
・接続不良はないか
・延長しすぎていないか

トラブルシューティング③:規定の「性能(水量・揚程)が出ない」
「新品なのにカタログ通りの水が出ない」「勢いが弱い」という場合、機械の故障ではなく「選定ミス」や「使用環境」に原因があることがほとんどです。
さくぞう
さくみ
| 確認箇所 | 対策 |
|---|---|
| 渇水運転になっていないか | 最低水位まで水位を保つようにする |
| 60Hz用のポンプを50Hzで使用している | ポンプまたはインペラを交換する |
| インペラが逆回転している (ポンプ上部から見て始動時に反動で右回転の場合) |
三相のうち二相を入れ替える |
さくぞう
さくみ
低い場合はポンプが仕事をしていないサインだゾウ!原因は次の可能性があるよ
| 原因箇所 | 考えられる原因 |
|---|---|
| ポンプ内部 | インペラの摩耗、インペラのクリアランス不良、ストレーナ内部の詰まり キャビテーション、ケーシング内のエアーロック |
| 配管 | ゴミ、土砂の詰まり、エアーロック、接続不良、漏れ |
| ポンプの性能不足 | 実揚程が高すぎる、損失水頭が大きすぎる |
トラブルシューティング④:ポンプから「異常な振動・騒音がする」
運転中に異音がする場合や、ポンプ自体が激しく振動する場合は、内部で物理的なトラブルが起きています。
さくぞう
さくみ
| 原因 | 確認方法 | 対処方法 |
|---|---|---|
| インペラの逆回転 | ポンプ上部から見て、始動時に反動で右に回る | 三相のうち二相を入れ替える |
さくぞう
さくみ
| 音・振動の場所 | 考えられる原因 |
|---|---|
| ポンプ部 | ベアリング損傷、インペラの接触、メカニカルシール故障 ストレーナの片側詰まり、キャビテーションの発生 |
| 配管部 | 基礎が不安定、配管バルブの取り付け不良、水流による配管の共鳴、ウォーターハンマーの発生 |
まとめ:正しい知識は、現場の安全と信頼を守る
今回は、水中ポンプの正しい使い方から、やってはいけないNG行動、トラブル対処法までを解説しました。
水中ポンプは、スイッチ一つで水を排出できる便利な機械ですが、
水と電気を同時に扱う以上、一歩間違えれば重大な事故や故障につながります。
しかし、今回ご紹介した使い方ステップを守れば、トラブルを未然に防ぐことができます。
【本記事のポイント】
- 準備が9割:電源(電圧・周波数)と絶縁抵抗の確認だけでなく、ホースと設置場所の適切な選定で始動不良と事故を防ぐ。
- 水位の設定と管理:最低水位を下回らないよう注意する。管理が難しい場合は、「自動運転型(オートポンプ)」を選定する。
- トラブルシューティング:トラブルが発生しても焦らず、症状ごとの確認フローをチェックする。
さくゾウ
さくみ
「選び方」も紹介しているから、そっちもチェックしてみてね!
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